北関東医学
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症例報告
リンパ節梗塞を呈した寒冷凝集素症を合併した悪性リンパ腫症例と骨髄性肉腫症例
島野 俊一星野 洋一大村 暁町田 守也田谷 禎増山田 勲荒井 剛東郷 望須藤 幸一川合 重夫池谷 俊郎東郷 庸史伊藤 秀明小島 勝
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2016 年 66 巻 3 号 p. 217-222

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抄録

リンパ節梗塞を呈した2例を報告する.
 症例1, 71歳, 女性. 全身のリンパ節腫脹で入院されたが, 生検したリンパ節はリンパ節梗塞を示した. 免疫組織化学的検討でCD20陽性の悪性リンパ腫と診断された. 臨床病期はIIIBでInternational Prognostic Index (IPI) はhigh riskであった. 入院11日目に間接ビリルビン優位の黄疸を伴う著明な貧血を認めた. 各種検査の結果, 寒冷凝集素症の合併と診断された. 入院15日目にCHOP療法を, 20日目にリツキサンが投与された. リツキサン投与前のRBC-LR2単位の輸血では輸血された赤血球の約53.0%が破壊されたと推定された. R-CHOP療法が8コース行われ, 現在は完全寛解が続いている.
 症例2, 81歳, 女性. 既往歴で急性骨髄性白血病に罹患し, 現在は完全寛解である. 食欲不振と左胸水貯留および右鎖骨上窩のリンパ節腫脹で入院した. 胸水の検査では白血病細胞の浸潤と結核は否定された. 生検されたリンパ節はリンパ節梗塞であった. 免疫組織化学的検討では骨髄性肉腫であったが, 4回行われた骨髄の検査はいずれも完全寛解であった. 化学療法が3コース行われ腫脹していたリンパ節は消失したが, その後再度の食欲不振と全身衰弱状態で死亡された.
 生検したリンパ節がリンパ節梗塞であった場合, その基礎疾患は悪性リンパ腫である可能性が高く, 病理学的検討には免疫組織化学的検討を行うことが望ましい.

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