2017 年 67 巻 1 号 p. 49-53
症例は73歳, 女性. 16年前に左腎細胞癌に対して左腎摘出術の既往がある. 亜腸閉塞による腹部膨満で受診した際の腹部CTで膵尾部腫瘍を指摘された. 画像所見上腫瘍は血流豊富であり, 既往歴とあわせて腎細胞癌の膵転移を最も疑った. その他の臓器に転移を認めないことから膵尾部, 脾合併切除術を施行した. 術後病理検査で腫瘍は淡明細胞にて構成されており腎細胞癌の膵転移と診断した. 本症例のような腎細胞癌の遅発性膵転移は稀であるが, 長期的な経過観察が重要であると考えられた. また腎細胞癌の膵転移に対しては積極的な外科的治療を行うべきと思われた.