北関東医学
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総説
硝子体黄斑界面疾患の発症機序岸
岸 章治
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2017 年 67 巻 2 号 p. 109-119

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抄録

黄斑は硝子体が関係した疾患の好発部位であるが, その機序は不明であった. 我々は後部硝子体剥離が起こった剖検眼の網膜表面を走査電顕で観察し, 黄斑部には硝子体皮質が高頻度で残存するのを報告した. その後, 硝子体の三次元構造をフルオレセイン染色で観察し, 黄斑前には「後部硝子体皮質前ポケット」があることを発見した. この解剖学的知見に基づいて, 黄斑円孔, 黄斑前膜, 糖尿病網膜症の輪状増殖病変の機序を臨床的に説明した. 1997年に光干渉断層計 (OCT) が導入されると, ポケットの後壁に相当する「ゲルから分離した硝子体皮質」が可視化され, 仮説の合理性が証明された. 2012年に上市されたswept source OCTではポケットの全貌が見られるようになった. ポケットは硝子体を横断するクローケ管とつながっており, 前房水が黄斑前ポケットに流入する可能性を示唆した.

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© 2017 北関東医学会
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