2021 年 71 巻 1 号 p. 1-7
背景・目的:A病院の集中治療室(ICU)では2012年より胃残留量(GRV)経腸栄養プロトコールを導入した.2016年には測定回数や流速等の改訂を行った.本研究は改訂前後のプロトコール実施状況を調査・比較検討し,改訂後のプロトコールの有効性を検討することを目的とした.
方 法:改訂前後の患者48名と71名を対象とし,後方視的にデータ収集した.
結 果:改訂前後で,GRVが150 ml以上であった割合,有害事象でプロトコールを中止した割合,目標投与量に達した割合はいずれも有意差は認められなかった.また,目標投与量に達した時間は有意に増加し(p<0.01),血糖値の日内変動幅や逸脱した医師の指示変更は有意に減少した(p<0.01).
結 論:改訂後プロトコールは有害ではなく,より統一した経腸栄養管理が行えるようになったことが示唆された.また,過度な血糖値の上昇を抑制できた可能性がある.今後もプロトコールを中心に,患者の身体的症状に合わせた経腸栄養管理を行っていきたい.