2021 年 71 巻 3 号 p. 169-176
【目 的】映像により誘導された感情が食品選択に及ぼす影響について検討した.
【方 法】調査対象者(n=146)を3つの部屋に分け,それぞれ4分間の映像を見せた.陽性感情を誘導する群(陽性誘導群)の映像は明るく,陰性感情を誘導する群(陰性誘導群)の映像は明度が低く鈍い色で低音の音楽を主とした.安静感情を誘導する群(安静誘導群)の映像は無音でストーリーがないものとした.映像視聴後,直ちに感情評定を行った.
【結 果】陽性誘導群では陽性感情項目が最も高く,陰性誘導群または安静誘導群ではそれぞれ陰性感情項目または安静感情項目が最も高い値だった.その後の食品選択ではヘルシーなイメージの食品に対して,栄養があると高く評価したのは安静誘導群で,最も低く評価したのは陽性誘導群だった.
【考 察】今回使用した映像視聴法は複数人を同時に感情誘導することができた.安静誘導群では,得られた知識に基づき冷静な判断をしたと考えられた.一方,陽性誘導群では,その後,行われる活動的な行動に見合わない,エネルギーの低そうな食品を避けたと考えられた.