1996 年 46 巻 6 号 p. 499-503
過剰腎は, 尿路奇形の中でも最もまれなもののうちの一つである.今回, われわれは膀胱尿管逆流を伴った62歳, 男の過剰腎と思われる1例を経験した.静脈性腎盂尿管造影では, 左の尿管は膀胱まで完全に2本存在した.腹部CTでは, 左のメインの腎の尾腹側に小さい萎縮性の過剰腎と思われる組織が描出された.膀胱造影では, 左の過剰腎への膀胱尿管逆流がみられ, 腎盂は腎盂-尿管移行部狭窄のため水腎症を呈していた.発熱は経口抗菌剤でコントロールされており, 今後難治性の尿路感染を繰り返せば過剰腎の摘出予定ということで外来での経過観察とした.