1997 年 47 巻 6 号 p. 425-428
1990-1993年に当院入院し急性期を脱し病状安定した脳血管障害による片麻痺患者12例 (64.6±11.6歳;脳梗塞9例, 脳出血3例) の麻痺側正中動脈と肘静脈の酸素分圧 (PaO2, PvO2), 及び両側前腕の経皮酸素分圧 (TcO2) を測定し, 片麻痺レベルと比較・検討した.片麻痺の強い症例では軽い症例に比して, 麻痺側と健側のTcO2の差は有意に大きく, 麻痺側のTcO2とPaO2の差は大きく, 麻痺側のPaO2とPvO2の差は小さくなった.片麻痺では血管運動神経障害, 自律神経障害, 動静脈シャント開大, 皮下脂肪・筋の代謝障害などが推定され, 麻痺側上肢ではPaO2に比してTcO2が低くなり, また健側上肢よりも麻痺側上肢のTcO2が低くなると思われた.さらに両側上肢のTcO2の差が片麻レベルの評価に有用であることが示唆された.