北関東医学
Online ISSN : 1881-1191
Print ISSN : 1343-2826
ISSN-L : 1343-2826
腹部熱布清拭が腸蠕動に及ぼす影響
小板橋 喜久代前田 三枝子柳 奈津子
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 49 巻 5 号 p. 347-351

詳細
抄録

本研究の目的は, 皮膚の清潔管理のための援助技術である腹部の熱布清拭がもたらす生体作用の一つとして, 腸蠕動に及ぼす影響を検証することである.これは非常に簡単な方法であり, 腹痛や不快症状を取り除く手段として一般に用いられたり, 活動が低下した患者の腸蠕動を促進させる方法として臨床的にも用いられてきた.しかし, これまでに, その生体作用の具体的検証がなされていない.
被験者は健康青年36名である.熱布清拭前後の腸蠕動音の発生回数を聴診器を用いて腹壁上より聴取し, 実施前との差違を比較検討した.実施前の左上腹部腸蠕動音の聴取回数が49回と異常に亢進していた1名を除外し, 35名の実測値を比較したところ, 聴取した4部位とも熱布清拭前よりも清拭後の方が蠕動音聴取回数が増加し, 各々の部位において有意差が認められた.音の聴取回数の増加は, 左下腹部, 右下腹部, 右上腹部, 左上腹部の順であった.また, 腸蠕動音の質的変化についての観察, および被験者からの自覚症状の変化についての報告によると, 腸蠕動の増加を示すと思われる音の質的変化が, 9名から聴取された.ほとんどの被験者から, 「気持ちよさ」「リラックス感」などの気分の変化が報告され, そのうちの2名からは便意の報告があった.腹部への熱布清拭が腸蠕動を促進することが示唆された.

著者関連情報
© 北関東医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top