北関東医学
Online ISSN : 1881-1191
Print ISSN : 1343-2826
ISSN-L : 1343-2826
後天性免疫不全症候群に見られたニューモシスチス・カリニ肺炎と思われる一例
渡邊 康一大沢 雄二郎小林 節雄荻原 裕之櫻井 章吾山田 正信佐藤 哲郎小沢 厚志
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 50 巻 2 号 p. 151-156

詳細
抄録

カリニ肺炎と思われる一例を経験したので報告する.症例は33歳女性, タイ国籍のバーホステスであり, 発熱, 咳嗽, 呼吸困難を訴え入院した.入院時胸部X線で両肺野にび漫性の細粒状陰影と一部小斑状影を認め, 動脈血酸素分圧 36.3mmHg と著明な低酸素血症を呈した. HIV 抗体はEIA法, ウェスタン・プロット法共明らかに陽性で HIV-1 の感染を考えられたまた淋巴球CD4陽性細胞は 69mm3, CD/CD8 比は0.1と共に著明に減少し, 一方マイコプラズマ, サイトメガロウィルス抗体価はいずれも陰性であった.これらの所見からAIDSに伴ったカリニ肺炎を疑い, ST合剤のバクタ (R) を投与し, その補助療法としてプレドニン (R) を併用した.これらの薬剤によって自覚的並びに他覚的所見は改善し, 第32病日に退院した.

著者関連情報
© 北関東医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top