北関東医学
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骨転移のため行動制限がある乳がん患者への看護の効果
患者・家族の意思決定とQOLを高めた援助の検討
藤野 文代林 かおり井上 エリ子石坂 聖子
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2001 年 51 巻 4 号 p. 261-265

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抄録

乳がんのため乳房切除術を受け, 骨転移を生じた患者は放射線治療や化学療法を受け, 行動制限や疼痛がある中で, 在宅療養が困難となり入院治療をすることになる.骨転移が生じた患者に対して, 我々看護者は患者の意思決定を尊重し, ADLの拡大をめざし, QOLを高めるように援助している.
今回, 骨転移を生じた患者の看護とは何かを明らかにすることを目的に本研究を行った.対象は初回の乳がん手術から数年~10数年経過した後に, 骨転移を生じた入院治療中の患者3名とした.筆者らが意思決定とQOLを尊重した看護を実践した結果, 患者や家族に退院希望のある場合は自宅退院することができ, 入院中の患者はさらにQOLを高めることができ, 看護の効果を認めた.
以上から骨転移を生じた乳がん患者の看護は以下の項目が重要であることが明らかになった.
1. 患者の意思を尊重し, QOLを高める
2. 疼痛コントロールと症状の緩和に努める
3. できる限りのリハビリテーション
4. ADL拡大と在宅療養への準備
5. コミュニケーションと信頼関係の確立
6. 幸福感や安定した気分の維持.

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