北関東医学
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肥厚性幽門狭窄症に対する新たな到達法 (臍部弧状切開法) の経験
黒岩 実鈴木 則夫高橋 篤池田 均村井 秀昭土岐 文彰土田 嘉昭
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2001 年 51 巻 5 号 p. 295-299

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抄録

【はじめに】開院以来, 我々は肥厚性幽門狭窄症に対し右上腹部横切開で幽門筋切開術を行ってきた.1998年以降.創瘢痕の軽減を目的に臍部弧状切開を導入したのでその成績につき, 文献的考察を加え報告する.【対象と方法】1998年以降我々が幽門筋切開術を行った症例は29例であった.対象はこれら29例中臍部弧状切開 (UMB) を受けた25例である, 対照としては同期間に右上腹部切開 (RUQ) が行われた4例と1997年に経験した12例の計16例とした.これら2群について背景因子, 術時間, 手術に関係した合併症, 術後の外観について検討した.なおUMB25例中17例は腹腔内で, 残る8例は幽門腫瘤を腹腔より脱転し (うち3例では腫瘤脱転のため臍上部正中切開が追加された), 幽門筋切開が行われた.【結果】両群の出生体重, 発症および入院日齢, 入院体重には差を認めず, 術前の動脈血pH, HCO3-, SBEや血清電解質 (Na, Cl) にも差はなかった.術時間はRUQ25分, UMB49.3分とUMBが約2倍を要した.RUQでは術中, 術後合併症を認めなかったのに対し, UMBでは術中の胃壁漿膜損傷 (5) および術後創感染 (2), 筋層切開が不十分で再手術 (1) などが認められた.術創に関してはRUQで明瞭な瘢痕 (4-~5cm) が存在するのに対し, UMBでは瘢痕が臍の皺に一致し, 極めて目立たなかった.しかし, 正中切開が追加された3例における瘢痕は明瞭であった.【まとめ】UMBは美容的に優れた術式であるが, 幽門腫瘤から遠い小さな創で術操作を行わねばならず, 技術的に難度が高い.合併症は幽門腫瘤の脱転操作と深い関係を有しており, 脱転困難例では無理することなく腹腔内で幽門筋切開を行うことが望ましい.この術式は周術期合併症や補助切開の追加なく行われて初めてその意義を正当化し得ると考えられる.

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