2004 年 54 巻 4 号 p. 305-310
【背景・目的】他病院でがん診断または治療を受けているにもかかわらず, 主治医の診療情報提供書を持たず, 自らすすんで大学病院を受診した患者の動機を明らかにした.【対象と方法】総合診療部を受診したがん患者52名から受診動機を聴取し, 内容分析を行った.【結果】患者の大学病院受診の動機は, 1) 現在の診断・治療の妥当性についての相談 (30.8%), 2) 新たな症状が出現したことへの不安 (30.8%), 3) 病状が改善しないことによる不安 (19.2%), 4) 高度医療への希望・期待 (9.6%), 5) 経過観察を希望 (9.6%) の5カテゴリーにまとめられた.【結語】患者は, 現在の治療・病状に対する不安, 新たな症状が出現したことによる不安が多く, 大学病院に対し最先端の高度医療提供への期待があることが明らかになった.