放射光X線その場観察実験により、パイロライトとMORBの660km地震波不連続面付近の密度変化を明らかにした。密度は高温高圧下における鉱物の格子体積と、回収試料の化学組成分析から、X線密度の定義に従って決定した。パイロライト、MORBともIrifune (1993)、Irifune and Ringwood (1993)の結果と一致した。Irifune (1993)では特に下部マントル領域における密度変化に大きな誤差が生じていた(約±0.1g/cm3)。これは、鉱物の化学組成分析、格子定数の誤差と、熱弾性パラメーターの不確定さに起因していた。本研究では、熱弾性パラメーターの誤差が加わらないため、約±0.05 g/cm3以下の精度で密度変化を制約することができた。