日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2005年度年会
セッションID: K3-04
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MgAl2O4の未知相の結晶構造
*工藤 康弘栗林 貴弘末田 有一郎入船 徹男
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抄録

41.8 GPa 2200 Kの条件下で合成されたMgAl2O4の未知相の結晶構造を単結晶X線法で解析した. 70x70x18ミクロンの単結晶試料をKEKのBL-10Aで放射光(波長 0.6990 A)と垂直型四軸自動回折計でX線回折強度を測定した.EDSによる分析の結果は,誤差の範囲内で,理想式MgAl2O4の組成である. Auの小片が少量混在しているが,X線回折強度に影響を与えるほどではない.逆格子空間の極限球の半球で2θが 72度までの反射1381反射を測定した.観測されたLaue対称はmmmで,独立な反射は410個である.同価な反射の強度の一致の程度を示すRintは9%である.放射光での格子定数はa=9.730(8), b=3.008(3), c=4.601(2)A.封入管(MoKα, 50kVx20mA)と四軸自動回折計(MXC3K)で測定した値は,a=9.745(4), b=3.013(2), c=4.6041(2)A, V=135.2(1) A3である.両者は誤差の範囲内で一致しているが,格子定数は誤差の小さい封入管による値を用い,回折強度データは放射光によるものを用いた.回折強度の消滅則から,空間群はPmmnである.結晶構造は直接法で決定した.同価な反射の強度を平均し,Io>3.0σIoの205個の反射と1/σ2の重みでの最小自乗法による精密化の結果は異方性温度因子を用いてR=5.7%, Rw=5.6%である.構造はCalcium Ferrite構造(CF構造)とCaTi2O4構造(CT構造)の中間的特徴を有している.

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© 2005 日本鉱物科学会
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