抄録
高次脳機能障害者とその家族及び支援者が全員女性であるピアサポートグループ『女子会』での家族(母親・妻)の会話内容から,母親と妻の抱える問題を抽出し,その相違点についてKJ法を用いて分析した.結果,母親,妻ともに抱える問題は【当事者を社会に戻すことへの不安】と【自身の葛藤】に統合された.母親では当事者を育て直す役割を担うため,《当事者の自立への不安》を抱えるのに対して,妻では家庭を築いてきたパートナーとして《当事者の自立を望む》問題を抱えるという違いがあった.また,母親・妻の【自身の葛藤】は,ともに《当事者を理解する(受け入れる)ことへの困惑》《家族の心配・不満》《自身の健康不安》であった.しかし,母親では<障害から生じる生活上の困惑>や<障害への悲嘆や不安><当事者への期待><当事者の反発への困惑>などの複雑な気持ちを抱えているのに対して,妻では依存や暴言・暴力などの<妻への態度変化への負担>や<周囲に迷惑をかけることへの心配>という違いがあった.共通の抱える問題は《当事者を取り巻く環境への不安》《家族の心配・不満》《自身の健康不安》であった.本研究によって母親と妻の抱える問題の相違点が明らかになった.