高知リハビリテーション学院紀要
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徒手筋力検査における徒手圧迫力のばらつきと再現性の検討
柏 智之片岡 達也栗山 裕司稲岡 忠勝平賀 康嗣宮﨑 登美子片山 訓博重島 晃史山﨑 裕司
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2019 年 20 巻 p. 13-16

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抄録

本研究では,徒手筋力検査でGrade5に相当する徒手圧迫力のばらつきと検者内再現性について調査・検討した.検査者は,理学療法士養成課程にある4 年次生20名である.模擬患者は,1 名の健常男性である.検査者は,模擬患者の肘屈曲,膝伸展,肩外旋,膝屈曲の徒手筋力検査を実施した.その際,アニマ社製徒手筋力計μTas-F1を用いて前腕遠位部,下腿遠位部の徒手圧迫力を測定した.肘屈曲,膝伸展,肩外旋,膝屈曲における1 日目の徒手圧迫力は,順に10.1±3.3kgf,14.2±5.7kgf,4.5±2.1kgf,10.1±3.1kgfであった.徒手圧迫力は,肘屈曲と膝屈曲間を除く全ての筋群間で有意差を認めた(p<0.05).肘屈曲,膝伸展,肩外旋,膝屈曲における徒手圧迫力の最小値ならびに最大値は,順に4.1-18.6kgf,4.6-27.0kgf,1.3-8.5kgf,5.5-16.4kgfであった.同様に2日目の徒手圧迫力は,順に10.6±3.2kgf,13.5±5.8kgf,5.0±2.7kgf,8.6±2.7kgfであった.膝屈曲筋力には,1 日目・2 日目の徒手圧迫力に有意差を認めた(p<0.05). 1 日目, 2 日目徒手圧迫力間の級内相関係数(1,1)は,肘関節屈曲,膝関節伸展,肩関節外旋,膝関節屈曲の順に,0.717,0.859,0.745,0.765であった.徒手圧迫力には検査者間で大きなばらつきが存在し,徒手筋力検査結果の妥当性を低下させる原因になるものと考えられた.

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