高知リハビリテーション専門職大学紀要
Online ISSN : 2435-2543
Print ISSN : 2435-2535
認知症を合併した進行性核上性麻痺患者に対する起き上がり練習
一本柳 千春富田 駿加藤 宗規山﨑 裕司
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー

2020 年 1 巻 p. 45-48

詳細
抄録

本研究では,進行性核上性麻痺患者に対して段階的難易度調整を用いた起き上がり練習を実施し,その効果について検討した.対象は,認知機能の低下した進行性核上性麻痺の80歳代男性である.寝返りは可能であったが,起き上がりには介助を要していた.起き上がりを6相に分け,必要な手がかり刺激を付与し,動作能力を点数化(自立5点から全介助1点.合計30点)した.最も困難であった第4相(側臥位から片肘立て位)に着目し,段階的難易度調整を用いた部分練習を実施した(①下側腋窩下に三角マット,②同部にクッション,③なし).そして,部分練習前後の起き上がり点数を比較した. ベースライン期(30-32病日)の点数は18/30であった.部分練習初日の33病日から練習後は30点となった.35病日からは練習前から30点となった.この間,身体機能,認知機能には変化を認めなかった.以上のことから,今回の介入は起き上がり動作を獲得させるうえで有効に機能したものと考えられた.

著者関連情報
© 2020 高知リハビリテーション専門職大学
前の記事 次の記事
feedback
Top