抄録
変形性膝関節症を有する外来患者に対して3ヶ月間理学療法を行い,準WOMAC機能スコアの合計点と各項目における困難者の割合の変化及び各機能項目の変化を重症度別に検討した.対象は変形性膝関節症と診断された外来患者40名(男性8名,女性32名),平均年齢は,73(54-88)歳であった.評価項目は,準WOMAC機能スコアの合計点及び各項目を評価した.各機能因子として,等尺性膝伸展筋力,膝関節屈曲及び伸展可動域,歩行速度,歩幅,歩行率,Timed up and go test,立位における姿勢安定度評価指数及び前後左右の重心移動距離を初期評価時と3ヶ月後にそれぞれ評価した.準WOMAC機能スコアの合計点は全対象者,軽度群,重度群において有意に改善した.各項目における困難者の割合は,全対象者及び軽度群において多くの項目に改善を認めたが,重度群には改善を認めなかった.各機能因子における初期介入時と3ヵ月介入後の変化は,全対象者および軽度群では,重度群と比べて改善を認めた項目数が多かった.以上のことから,変形性膝関節症に対する外来理学療法は,日常生活活動能力及び基本的な身体機能の向上を図るうえで有効なものと考えられた.