抄録
本研究では,ハムストリングスに対する振動刺激と温熱療法の併用が,その柔軟性に与える影響について検討した.
対象は,健常者10名.まず,両膝窩角度を測定した.次いで,腹臥位にて両側大腿後面にホットパックを10分間実施した.最後の3分間は,片側の内外側ハムストリングスの腱に対して振動刺激(76.6Hz)を加えた.治療後,再度両膝窩角度を測定した.日を変えて,同様の方法でもう一方のハムストリングスに対して振動刺激を加え,同様に両側の膝窩角度を測定した.振動刺激併用群における膝窩角度は,前125.8度,後136.0度であり,有意差を認めた(p<0.01).ホットパック群における膝窩角度は,前124.2度,後130.6度であり,有意差を認めた(p<0.01).併用群における膝窩角度の変化量は10.2度,ホットパック群の変化量は6.4度であり,有意差を認めた(p<0.05).温熱療法に振動刺激を追加することによってハムストリングスの柔軟性は大きく改善した.振動刺激の追加は,ハムストリングスの柔軟性を改善させるうえで有益なものと考えられた.