2020 年 50 巻 1 号 p. 24-29
歴史都市は観光都市でもあり,文化遺産や歴史的な町並みを目的として多数の観光客が訪れている.歴史都市の防災計画においては文化遺産防災についても考えることが必要であるが,そのためには,文化遺産防災の必要性を客観的,定量的に示すことが必要である.本稿では,代表的な歴史都市である京都市を対象として,観光客の旅行費用にもとづく観光資源としての文化遺産の価値の計測をおこなう.具体的には,京都市を訪れる観光客の出発地と目的地にもとづき,文化遺産をもつ観光スポットを訪れる観光客の一般化旅行費用の算定をおこなう.