こころの健康
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病棟看護職における職業性ストレスの特徴および精神的不調感との関連
影山 隆之錦戸 典子小林 敏生大賀 淳子河島 美枝子
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2001 年 16 巻 1 号 p. 69-81

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抄録

看護職の精神的不健康についてはburn-outという観点からの研究が多いが, その職業性ストレスにどのような特徴があり, そのどのような側面が精神健康と関連しているのを, 他職種と比較した研究は少ない。この点を検討するために, 一病院で三交代制勤務に従事する看護婦を対象とする質問紙調査を行い, 178名の職業性ストレスと, GHQ-12で評価した精神的不調感について分析した。対象者の職業性ストレスには次のような特徴があった, a) 仕事の要求度が高くとりわけ職場での人間関係のストレスが多い, b) 裁量度はホワイトカラー一般と同程度, c) 同僚上司の支援はホワイトカラー一般と比べ少ない, d) 仕事の達成感は比較的高い。年齢または経験年数につれて, 仕事の質的負荷は軽くなり, 同僚上司の支援は減少していた。一方, 対象者の精神的不調感は, 仕事の量的負荷, 職場での対人関係の困難, 質的負荷, 同僚上司の支援, 達成感, 患者一看護者関係の困難, および問題に直面したときにじっとがまんするというストレス対処特性と関連していた。ただし同僚上司の支援は, 質的負荷が多い場合にのみ, 精神的不調感を軽減する効果があった。若く経験の浅い対象者で精神的不調感が強い理由は, 仕事の質的負荷によって説明された。達成感を多く感じている対象者では患者一看護者関係の困難が増えるほど精神的不調感が強くなっていたが, 達成感をあまり感じていない対象者では患者一看護者関係の困難と精神的不調感との関連がみられなかった。以上の結果と病棟看護職という職種の背景との関連について考察した。

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© 日本精神衛生学会
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