2006 年 21 巻 2 号 p. 35-43
看護師の働きがいの構成要素と影響要因を明らかにすることを目的として、急性期病院に勤務する看護職を対象に仕事に対する働きがいについて無記名の自由記述による調査を実施し、1, 209名から回答を得た。質的分析を用いて、自由記述で得た回答をもとに、働きがいについて関連するものをまとめてサブカテゴリー・カテゴリーを抽出した。次に、働きがいの構成要素と影響要因という視点でカテゴリーを構造化した。その結果、カテゴリーは、働きがいを構成する心理的実感と働きがいに影響を及ぼす業務上の経験および職場環境に分類された。働きがいを構成する心理的実感として《患者・家族への親近感》《患者・家族に対する自己存在感》《達成感》《コントロール感》《自己成長感》《自己効力感》が分類された。働ぎがいに影響を及ぼす業務上の経験としては、《治療の進行に伴う患者の状態の改善》《患者・家族からのポジティブフィードバック》《困難な状況の改善》《看護に対する他者の良好な評価》《看護業務の遂行》《高い看護技術の発揮》《患者・家族と触れ合うケア》が、職場環境として《良好な人的環境》《良好な労働条件》《職場環境の整備》が分類された。さらに、サブカテゴリー毎に回答した対象者の数を集計し、対象者の属性別の比較を行った。その結果、職位別と所属別において、働きがいの特徴に違いがみられた。看護師の働きがいを向上させるためには、それぞれの職位、所属の特徴にあった取り組みが必要であることが示唆された。