国語科教育
Online ISSN : 2189-9533
Print ISSN : 0287-0479
II 研究論文
国語科において図像テクストから「対人的」意味を学習する意義と方法的枠組み
奥泉 香
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2020 年 87 巻 p. 14-22

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抄録

本論文の目的は、国語科の検定教科書に採録されている複モード・テクスト等から意味を構築する学習を、特に「対人的」な意味に焦点化させて国語科に導入していく可能性を検討・提案することである。この目的のために、本論文では選択体系機能言語学において開発されてきた次の三つのメタ機能の枠組みを援用する。その三つとは、観念構成的意味、対人的意味、テクスト形成的意味の三種類である。対人的意味については、Painter et al.(2013)において、次のニ種類の関係性を検討する必要性が指摘されている。一つは、読み手とテクスト中の登場人物との関係性である。そしてもう一つは、テクスト中の登場人物相互の関係性である。これらの枠組みを基盤として用い、本論文では対人的意味の中でも、特に複モード・テクストを読んでいる際に、私たちの感情に重要な影響を与えるとされる「強度」という概念に焦点を当て、視覚的アプレイザルという枠組みを用いて検討を行う。そして結論部では、こういった学習のための幾つかの学習材や、学習のポイントを提示する。

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© 2020 全国大学国語教育学会
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