国語科教育
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Ⅰ 研究論文
石森延男と第4期国定国語教科書――「満洲教材」の成立過程――
宇賀神 一
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2020 年 88 巻 p. 12-20

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抄録

本稿の目的は、石森延男と第4期国定国語教科書の関係性を考究することである。本稿ではとりわけ、石森が同書の編纂にかかわることになった経緯と、石森が寄稿した「満洲教材」の成立過程を検討した。結果として、当代の同教科書の編纂過程において外国教材のリアリズムが重視されており、石森が「満洲」を舞台としてその課題に応え得る人材であったことから教材の執筆が依頼されたことが明らかになった。このように嘱望された石森の教材原案は、そのままで教科書に収録されることはなく、原案に由来する感情や心情を表現した記述が削除された。その一方で、「満洲」の言語面における日本化が強調されており、また、日本「内地」からみた「満洲」という視点が取り入れられて、教材として成立した。

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© 2020 全国大学国語教育学会
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