2022 年 1 巻 p. 14-24
目的:肺移植術後遠隔期における健康関連QoLの実態と,関連因子を明らかにすること。
方法:肺移植術後2年以上の生存者を対象に,定期受診時に健康関連QoL(SF-36)を調査し,国民標準値(50点)と比較した。また同時期の臨床指標との関連を分析した。
結果:130例を解析対象とした。SF-36は精神面54.0点,役割-社会面50.0点であり国民標準値相当だったが,身体面(PCS)は39.1点と低値であった。特に,慢性移植肺機能不全合併患者のPCSが低値であったが,非合併患者に限定しても40.8点と低値であった。PCS低値(40点以下)の要因には6分間歩行距離や膝伸展筋力,呼吸機能の低下が有意な関連因子として抽出された。
結論:肺移植術後遠隔期の健康関連QoLは身体面において低水準であり,その要因として身体機能や呼吸機能の低下が関連した。