2022 年 1 巻 p. 2-13
入院を要する間質性肺疾患(ILD)患者の多くは低酸素血症や呼吸困難のため入院中の筋力やADL能力の評価に難渋する。本研究は,患者努力を必要とせず計測可能な脊柱起立筋群断面積(ESMCSA)と筋力およびADL能力との関連と入院期に生じるADL能力低下の要因について検討することを目的とした。ILD患者55例を対象とし,体表面積(BSA)で除したESMCSA/BSA,背景因子,入院前および入院中のBarthel index(BI),MRC sum score(MRC-SS)を評価した。ESMCSA/BSAとMRC-SSおよび入院中のBIは正相関を示し,ESMCSA/BSA低値群は入院中に有意なBI改善を認めなかった。ロジスティック回帰分析の結果,ESMCSA/BSAとステロイドパルス療法が入院期ADL能力低下の独立した危険因子であった。ESMCSA/BSAはILD入院患者の筋力やADL能力に関連する。