本稿は,分身型ロボットを活用した特別支援学校の実践を事例として,ロボットを含む情報通信技術(Information and Communication Technology)のある学習環境が,生徒の主体性や協働性を含む「パフォーマンス」をいかに生み出すかについて考察する。本稿で用いる「パフォーマンス」は,パフォーマンス心理学における概念で,ヴィゴツキーの考え方から引き出され,俳優が舞台で演劇活動を行うように,今の自分の限界を超えて,それまでとは違う自分になること(becoming)を意味する。本研究では,分身型ロボットが配置された教室環境において,特別支援学校の生徒が「なりたい自分」をイメージしながらパフォーマンスすることを発達と捉え,それを促す学習環境を考察する。