2020 年 48 巻 p. 42-46
本学に配置された実習工場ではものづくりを通した教育を実施しているが,職員一人あたりの業務量の増加により学生に対する技術指導や教育支援の質の維持が難しくなってきている。職員が常時工場内の巡視を行うことは難しく,自身の業務に取り組みつつも支援を必要とする学生を把握できるシステムの開発が望まれた。この問題を解決するために,本論文では学生が支援を求める瞬間を自動的に検出し,その情報を職員のスマートウォッチに通知するシステムを開発している。職員がアドバイスを提供する瞬間はニューラルネットワークによって検出され,工作機械の電力データから判定される機械操作の習熟度に基づいて決定される。実施した実験においてニューラルネットワークによって機械操作の習熟度が低いと判定された場面は学生に対する支援・指導の必要な状況であり,本システムによって支援を必要とするタイミングを適切に検出できることが示された。