2005 年 74 巻 2+3 号 p. 47-51
綿布の性能向上を目的として,セリシン・クエン酸混合溶液1.5,3,4.5,6%で綿布にセリシン固着加工を行った。加工綿布は湿式洗濯処理を20回繰り返し,固着セリシンの洗濯耐久性および加工綿布の洗濯前後の風合い変化について検討した。
その結果,セリシン加工綿布は洗濯回数が増えるほどセリシンが脱落したが,洗濯処理20回後も綿布にセリシンが残留し,高濃度処理布ほどセリシン残存量が多いことが確認された。また,綿布は加工によって風合い値のコシ,ハリ,キシミが増加し,シナヤカサが減少した。この傾向は処理濃度が高くなるほど顕著であった。洗濯処理20回後はいずれの加工綿布もコシ,ハリ,キシミは減少し,シナヤカサは増加したが,加工綿布の中で3%処理布は加工および洗濯処理20回後の風合い変化が小さかった。