日本蚕糸学雑誌
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桑樹の生育時期別・葉位別にみた葉の暗呼吸速度について
村上 毅
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1977 年 46 巻 1 号 p. 58-62

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抄録

生育の旺盛な7月から, 落葉期の11月まで, 生育時期別, 葉位別に桑葉の暗呼吸速度を測定し, 葉位と呼吸速度の関係について検討を加えた。その結果を要約すれば次のとおりである。なお, この実験はポット植えの桑を用いたものであり, 圃場条件下の桑については別途検討が必要である。
1. 生育の旺盛な7月から9月までの桑葉の呼吸速度は葉位によって大きく変化し, 第10葉位葉までの若い葉では葉令の若い葉ほど呼吸速度が高く, 第10葉位葉より下位葉では葉位による呼吸速度の差はほとんどみられない。
2. 7月~9月では, 開葉直後の桑葉の呼吸速度は5~6mg CO2/100cm2/hrの水準にあり, 完成した葉では1~2mg CO2/100cm2/hrの水準である。
3. 成長が停止する10月になると, 葉位による呼吸速度の差が不明瞭になり, 第10葉位葉までの呼吸速度は, とりわけ, 葉位の若い葉ほどその低下が著しい。一方, 第10~第30葉位葉の呼吸速度は7~8月の同葉位葉の呼吸速度の水準よりも, むしろ高くなる傾向がみとめられた。
4. 十分に成熟した桑葉の呼吸速度は全生育期間を通じて, 1~2mg CO2/100cm2/hrの水準にあり, 夜間の呼吸速度は, この呼吸速度の50~80%の水準にあるものと考えられる。

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