日本蚕糸学雑誌
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カイコガの羽化行動とそのホルモン制御
カイコガの羽化行動に関する研究I
普後 一
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1982 年 51 巻 6 号 p. 523-527

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抄録

カイコガ羽化行動のホルモン的制御を検索するための基礎的研究として, 羽化行動および羽化行動に対する脳・神経系の役割について実験し, 以下の結果を得た。16L-8D光周条件下で, カイコガの羽化は点灯後1.5時間以内に集中的におこり, 翌日の同時刻までの間羽化する個体はみられなかった。カイコガの羽化行動は次の順序で行われた。羽化前行動として, 点灯後10分程度の静止期を経た後, 腹部を盛んに回転させる腹部回転運動期がある。羽化行動として, 腹部蠕動収縮とそれに続く翅および前肢の運動がみられた。羽化後, 蠕動運動と歩行運動がしばらく続くが, これらの運動を止めた後, 翅の伸展がおこった。各種外科手術実験の結果, 羽化時刻の枠付け機構が脳に存在することが判明し, 羽化行動のホルモン制御について若干考察した。

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