日本蚕糸学雑誌
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キボシカミキリの羽化時期別産卵数について
横井 直人吉井 太門
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1987 年 56 巻 1 号 p. 33-37

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抄録

福島県におけるキボシカミキリの羽化期は6~9月である。そこで, 羽化時期の早晩と産卵数の関係を知るために, 野外で調査を行った。その結果, 両者の間には高い相関がみられ, 羽化時期の早い個体ほど産卵数が多く, さらに, 産卵期間も長かった。産卵に及ぼす影響を日長, 温度および成育朝間の長短により調べたところ, 温度のみが影響を及ぼすものと考えられた。産卵期間中, 平均気温が20℃以上の日数が多いものほど多産であった。これらのことから, 晩期羽化個体ほど産卵数が減少する要因は9月以降の気温の低下であると考えられる。なお, 福島県における1雌当りの平均産卵数を推定するには羽化時期別産卵数を考慮する必要があり, それらを基に推定した結果, 福島県では従来の知見による産卵数よりもはるかに少ない, 約100粒程度と考えられた。

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