日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
カイコの粘液腺の発育にともなう粘着タンパク質の蓄積
アモーンサック ウイーラワン野田 朋佳山下 興亜
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 61 巻 2 号 p. 123-130

詳細
抄録

カイコの雌生殖附属腺である粘液腺は成虫羽化前の2日間で急激に成長肥大した。粘液腺重は羽化交尾後の産下卵数の増加にともなって減少し, 1個の卵の粘着に約40μgの粘液物質が消費されていると算定された。粘液腺の肥大や退縮は主として腺分泌物質, とりわけタンパク質量の増減によっていた。成虫の粘液腺から分泌物を集めその化学組成を分析したところ, 水分が85%で, タンパク質が11%を占あていた。このタンパク質を7.5%SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離した結果, 2本のポリペプチドンバンドからなり, その1つは分子量約240kDaのポリペプチド (粘着タンパク質-1) であり, 主要な成分であった。もう1つ (粘着タンパク質-2) は分子量約190kDaであった。免疫化学的な方法 (ウエスターンブロット分析) を用いて粘着タンパク質の発育にともなう変動を調査した結果, 粘着タンパク質-1は蛹化後6日齢から出現し発育経過にともなって増加したが, 粘着タンパク質-2はこれより遅れて出現しその増加量も少いことが判明した。

著者関連情報
© 社団法人日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top