日本蚕糸学雑誌
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絹と水酸基を有するアゾ染料の相互作用に及ぼす金属イオン添加の影響
清水 慶昭高岸 徹
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1997 年 66 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

アゾ基に対してo, o′-位に水酸基を有するモノアゾ染料であるクロムバイオレット (CV) と絹との結合に及ぼす2価の金属イオン添加の影響を調べた。Co2+の添加はCVの結合を著しく高める。それに対して, Zn2+は絹に対するCVの親和力にほとんど影響を与えない。Cu2+の添加はpH 4およびpH 5においては結合にほとんど影響しないが, pH 6ではいくらか結合を高める。さらに, 添加金属イオンの作用機構を調べるために, コバルトおよびクロムとCVの錯塩染料を合成し, それらの錯塩染料の絹に対する結合性をCo2+およびCu2+の存在下におけるCVのそれと比較した。そして, Co2+およびCu2+の添加によるCVの結合の増大について推定される機構を示した。

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