63 巻 (2006) 6 号 p. 397-403
熱間圧延加工による射出成形したポリプロピレンの高次構造および引張特性の変化について検討し, 次の結果が得られた. (1) 冷間圧延加工は試料の寸法回復が生ずるが, 熱間圧延加工では優れた寸法安定性を有するとともに最大圧延率が80%まで圧延できる. (2) 圧延加工は基本的に試料の内部における結晶化度を低下させるが, 熱間圧延の場合ではその低下程度が冷間圧延より少ない. (3) 熱間圧延加工は圧延率40%まで, 分子配向性とE'が冷間圧延加工より低いが, 60%以上になると, 両方とも急激に向上する. (4) 熱間圧延した試料は冷間圧延より引張塑性変形領域における応力レベルが高くなっており, 特に60%以上圧延すると, かなり高い引張強度と延性特性を有することがわかる. 以上のようにいずれの圧延温度においても圧延率40%までは試料の力学特性の改善にあまり期待できないが, 熱間圧延加工では高い圧延率が得られるため, 材質の改善, 材料強度と延性の向上に有効な方法であると言えよう.