抄録
スチレンとトリブチル-4-ビニルベンジルホスホニウムクロライド(VBPC)をソープフリー乳化重合させ,所定時間後に VBPC を後添加する 2 段階重合によりホスホニウム化ポリスチレン粒子を作製し,得られた粒子のコロイド安定性について評価した.後添加する転化率を変えて作製した粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ,転化率が 80%以上のときには,新粒子の生成は認められず,大きさが約 180 nm である真球状の粒子が得られた.また,粒子 1 g に導入されたホスホニウム基の量は,後添加する転化率によらずほぼ一定の値となった.粒子の大きさやホスホニウム基の導入量がほぼ等しいこれらの粒子の臨界凝集濃度(CFC)を求めたところ,後添加する転化率が 80%台の粒子は,90%以上の粒子に比べて,CFC は約 1.5 倍大きかった.これは,後添加する転化率を変えると,構築される表面構造が異なるためと考えられる.