抄録
イオン液体をエラストマーまたはケイ酸ガラス誘導体中に保持させることで,ゴム状またはガラス状のイオン伝導性ゲルを得た.エラストマーとしてニトリルゴムを用いた場合,ゲル化できるイオン液体が多く見いだされたが,ニトリルゴム/イオン液体の単純な 2 成分系では高イオン伝導度は得られず,イオン液体含量を増大させるにつれてゴム弾性を失うという問題も生じた.そこでゲルに少量のリチウム塩を添加したところ,イオン伝導度とゴム弾性がともに大きく改善できることを見いだした.熱分析などの結果から,リチウム塩添加後はミクロ相分離が生じていることが明らかとなった.フレームワークを担う高分子と,イオン伝導性を担うイオン液体が役割分担したことが物性改善につながったと考えられる.天然ゴムについても,相溶性のあるイオン液体を見いだした.一方,ガラス状のゲルはゾル-ゲル法によって作製した.イオン液体にはブレンステッド酸性イオン液体を用いた.イオン液体の酸性によりゾル-ゲル反応は比較的速やかに進行した.無機骨格,イオン液体がともに耐熱性が高いことに基づき,このゲルは中温域で安定にプロトン伝導性を発現することができた.無機骨格とイオン液体ポリマーのコンポジット化も行い,物性を改善した.