抄録
近年,アゾベンゼンを有する有機薄膜において,空間パターンを有する光を照射すると凹凸(光誘起表面レリーフ)が形成する現象が報告された.この凹凸形成方法は,現像行程を必要とすることなく光照射の一段階の行程で作製できるため,低コスト・低環境負荷である.さらに,この凹凸は薄膜構成物質自身の移動により形成されているため消去・再形成が可能であり,新しいリソグラフィー技術としても基礎・応用両面から強い関心を集めている.本報では,この現象を概説したのち,実用化に結びつける上で問題となる凹凸形成の遅さや可視光の吸収について,材料面からの改良方法を示す.また,物質移動現象そのものを利用した動的な機能への応用展開についても紹介する.