高分子論文集
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総説
三次元イメージング法の最近の進歩
陣内 浩司森田 裕史新原 健一
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2008 年 65 巻 9 号 p. 547-561

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抄録

近年,高分子の不均一構造を三次元的に実空間直接観察することにより,材料の評価・解析を行う新しい実験手法(三次元イメージング法)が注目を浴びている.高分子混合系の相分離過程の三次元観察などに用いられた共焦点レーザースキャン顕微鏡(Laser Scanning Confocal Microscopy, LSCM)に加え,高分子ナノ構造を三次元観察できる透過型電子線トモグラフィー法(Transmission Electron Microtomography, TEMT),不透明な高分子材料の μm スケールでの三次元観察を可能とする X 線 CT(X-ray Computerized Tomography, X-ray CT),さらに集束イオンビームを用いメゾスケールの三次元観察に最適な Scanning Electron Microscopy Combined with a Focused Ion Beam (FIB-SEM)の登場により,nm から μm にわたる広い空間スケールでのシームレスな三次元イメージングが現実のものとなった.本報では,最近特に発展が著しい TEMT の装置・測定法の新展開と新しい三次元イメージング法である FIB-SEM について概説する.また,TEMT と他の構造解析法との組合せによるブロック共重合体・無機/高分子ナノコンポジット材料の最新の三次元観察・解析例を紹介し,三次元イメージング法による新しい高分子構造研究の方向性とその将来性について述べる.

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© 2008 公益社団法人 高分子学会
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