66 巻 (2009) 9 号 p. 355-362
炭酸カルシウム(CaCO3)のリン酸化反応により球状水酸アパタイト(HAp)を合成し,さらにシランカップリング剤,ソルビン酸および液状カルボキシル化ポリブタジエン(LB)により表面処理した.HAp および表面処理 HAp を構造の異なる 3 種のスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)に充てんし,複合体の力学特性に及ぼす影響を CaCO3 およびシリカ(SiO2)充てん複合体と比較して検討した.HAp を充てんしたスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(SIS)複合体の低伸長域の応力は,SiO2 と CaCO3 充てん複合体に比べて高く,引張永久ひずみ(TS)は小さくなった.表面処理 HAp の充てんにより,複合体の 300%伸長時のモジュラス(M300)と破断強度(TB)はさらに向上し,TS は低下した.今回用いた修飾剤を比較すると,LB による表面処理効果が最も高かった.また,LB を含む溶液中で合成した HAp(IS-HAp)は,LB と HAp の複合粒子から形成されていた.IS-HAp は,不飽和の TPS に対して良好な補強効果を示し,充てんした複合体の耐熱性も向上した.