2010 年 67 巻 4 号 p. 248-253
PVA に TEMPO 骨格を導入した高分子スピンプローブ剤 PVA-TEMPO を合成し,アガロースゲルに導入した.PVA-TEMPO を導入したアガロースゲルの ESR スペクトルを測定したところ,7~60℃ の温度領域で PVA-TEMPO の分子運動性が PVA-TEMPO 水溶液と比較して低下していることが明らかになった.一方,PEG に TEMPO 骨格を導入した高分子スピンプローブ剤 PEG-TEMPO を導入したアガロースゲルの ESR スペクトルを測定したところ,PEG-TEMPO 水溶液と比較して,PEG-TEMPO の分子運動性の低下は認められなかった.本報では,ESR スペクトルと FT-IR スペクトルより,アガロースゲルの内部環境について論じた.