高分子論文集
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総説
分子認識による自己修復と巨視的自己組織化
原田 明
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2013 年 70 巻 11 号 p. 617-622

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抄録

高分子が他の分子により認識されるには,その主鎖が認識されるか,側鎖が認識されるかによる.高分子鎖が環状分子により取り込まれることにより,高分子の主鎖の長さや太さ,性質が認識され,いわゆる擬ポリロタキサンが形成される.高分子の側鎖が認識されることにより,タンパク質やDNAにみられるような認識やゲルの形成が起こる.ここではグルコースの環状オリゴマーであるシクロデキストリン(CD)を用いて高分子の認識について検討した結果について筆者らの研究を中心に紹介する.CDにより種々のポリマーがとりこまれることにより,ポリロタキサンが形成された.また,ポリマー側鎖の認識により,ヒドロゲルが形成した.このヒドロゲルは自己修復性を示した.また,CD環を有するゲルとゲストを有するゲルとが,ホスト–ゲスト間での相互作用により,選択的に結合した.この結合はさまざまな外部環境により,制御することができた.また,この現象を利用することにより,巨視的な大きさでゲルが光や酸化還元により,伸縮することを見いだした.

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© 2013 公益社団法人 高分子学会
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