抄録
空間的に高分子鎖が連結された架橋点を含む架橋高分子の合成をビニルポリマー系へと展開するために,[2]ロタキサン構造と[3]ロタキサン構造からなるビニル型架橋剤をそれぞれ合成した.[2]ロタキサン構造からなるビニル架橋剤を用いて汎用ビニルモノマーから架橋高分子を合成したところ,化学的に架橋した高分子よりも高い機械的特性を示した.また,高分子鎖を軸分子とする [2]ロタキサン構造からなる架橋剤を用いて合成した架橋高分子フィルムでは,ロタキサンの環状成分が軸鎖に沿って移動するスライディング効果による特徴的な物性が観察された.一方,[3]ロタキサン構造からなるビニル架橋剤では,軸分子に可逆的に開裂可能な共有結合部位を導入したり,末端封鎖基を環状分子の内孔と同程度とすることで,刺激に応答して分解する架橋高分子や再架橋可能な高分子を得ることができた.このようにロタキサン構造を含むビニル型架橋剤を用いることで,空間連結に由来する新たな機能を架橋高分子に賦与できることを示した.