2015 年 72 巻 7 号 p. 375-384
各種のPd錯体を開始剤とするジアゾカルボニル化合物の重合について述べる.塩化パラジウム(PdCl2)を用いたジアゾ酢酸エステル,ジアゾケトン,ジアゾアセトアミドの重合では,数平均分子量2000程度のポリマーが得られた.一方,(NHC)Pd/borate系(NHC=N-ヘテロ環状カルベン)およびπ-アリルパラジウムクロリドを基本とする系を用いたジアゾ酢酸エステルの重合では,数平均分子量数万に達するポリマーを得ることができた.とくに,後者の開始剤系を用いて得られたポリマーの,MALDI-TOF-MSを用いた末端構造の解析により,重合の開始・停止機構を明らかにした.ヒドロキシ基を有するジアゾ酢酸エステルの重合により,炭素–炭素結合からなるポリマー主鎖の周囲にヒドロキシ基が集積したポリマーが得られた.