高分子論文集
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一般論文
ビニルエーテルの環拡大リビングカチオン重合
上宮田 源大内 誠澤本 光男
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2015 年 72 巻 7 号 p. 468-479

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抄録

ヘミアセタールエステル結合が導入された環状分子を開始剤,SnBr4をルイス酸触媒として組合せることで,環拡大リビングカチオン重合を実現した.生成ポリマーは多峰性のSEC曲線を与えたが,重合の進行とともに高分子側にシフトし,成長種が不可逆に失活することなく重合が進行していることが示唆された.生成したポリマーを酸で加水分解すると,ピークトップ分子量が明確に増加したこと,また 1H NMR,MALDI-TOF-MASSによる生成ポリマーの構造解析結果から,生成ポリマーが狙いどおりの環状鎖であることが示された.SEC曲線の多峰性は,分子鎖間の可逆的な交換連鎖による「環融合」によると推察され,加水分解後に非常に狭い分子量分布が得られたことから,ヘミアセタールエステル結合あたりの分子量はよく制御されていることがわかった.また,環拡大ブロック共重合も可能であった.

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© 2015 公益社団法人 高分子学会
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