抄録
酸の作用によって分解可能な2種類のアセタール結合含有ノボラック型エポキシ樹脂(CN-CHDMVGおよびCN-VBGE)と炭素繊維との接着性を評価するため,界面せん断強度をマイクロドロップレット法により測定した.CN-CHDMVGおよびCN-VBGEの界面せん断強度は,アセタール結合を含有していない従来の汎用的なフェノールノボラック型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型エポキシ樹脂よりも高い値を示した.また,それぞれの樹脂を用いた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を作製し,塩化水素を含む酸性の条件下にてそれらの分解反応試験を行った.アセタール結合含有エポキシ樹脂を用いて作製したCFRPは,アセタール結合の選択的な切断により樹脂が分解し,炭素繊維を容易に回収することができた.また,塩化水素の濃度および樹脂の構造によっても分解反応の速度が異なることがわかった.回収した炭素繊維の表面をSEMにて観測した結果,表面上にエポキシ樹脂の残渣は見られず,また損傷のない状態で回収することができた.