2017 年 74 巻 3 号 p. 162-171
自己集合性ペプチドは自在な設計が可能であり,高い生体適合性を備えることから,ナノ材料やバイオ材料の創製において魅力的な素材である.筆者らは,水中でファイバーをはじめとしたナノ構造に自己集合するペプチドを設計・合成し,ナノバイオ材料へと展開してきた.これまでに,自己集合性ペプチドの化学修飾やペプチドナノファイバー上へ特異的に結合するアンカー分子によるナノファイバーの機能化に成功し,ファイバー上へタンパク質などの機能分子を集積したナノ材料や,ペプチドナノファイバーから成るヒドロゲルを用いた細胞培養のためのバイオ材料の創製に成功している.独自の分子設計に基づいて自己集合性ペプチドのナノ構造を構築する手法と化学修飾・分子認識を利用したナノ構造の機能化法を組合せたアプローチによる成果は,高機能性のナノバイオ材料の創製に有用である.