2018 年 75 巻 4 号 p. 337-346
ポリプロピレン(PP)とEPDMより構成される動的熱可塑性エラストマー(TPV)の混練および組成がTPVの物性・構造に及ぼす影響について検討した.混練時間の増加に従って,およびPP比率の増加により,破断応力および破断ひずみが増加したが融点,結晶化度には変化を与えなかった.NMR測定より混練時間が長くなればなるほど,PPとEPDMの界面成分が多くなり,PPの可塑化成分の増加が確認された.また,PPの溶媒抽出試料においてもPP成分が完全に除去できないことおよび溶融延伸の結果から,PPの一部はEPDM成分に潜り込んでいることを明らかにした.SEM観察より,EPDM成分の微分散化はPP成分が多いほどゆっくりと進み,フィブリルが形成された.このフィブリル形成が混練時間・組成により異なり,形成されたフィブリルによりゴム成分のネットワークが形成され,破断応力・破断ひずみに影響することを明らかにした.