2018 年 75 巻 4 号 p. 381-386
レドックス重合で自由造形可能な高強度ゲルである微粒子調製ダブルネットワーク(P-DN)ゲルを合成した.一般的な光重合ではなくレドックス重合を用いることにより反応時間が短縮され,大量合成時に有利と考えられる.本研究では最適な開始剤および触媒の比率を決定するため,各々の比率のみを変えたP-DNゲルを数種類合成し,圧縮試験および走査型顕微光散乱装置による測定を行った.開始剤および触媒比率は小さいほうが,メッシュサイズが小さく高強度となることが確認でき,中でもモノマー比で開始剤0.2 mol%,触媒0.1 mol%としたP-DNゲルは光重合で合成したP-DNゲルを上回る圧縮破断応力を示した.含水率は光重合時とほぼ同等であった.光重合ではレーザなどの高輝度光源を使用しない限り重合反応には数時間を要するが,レドックス重合では2時間程度で反応が完了することが確認でき,大量合成時に有利となる可能性が示唆された.