2019 年 76 巻 3 号 p. 234-240
本報では,イソプレンのリビングアニオン重合の生長末端を直接ハロゲン化することを検討し,さまざまなブロック共重合体の合成へと展開した.まず,適切な条件下,四塩化炭素により,イソプレンの生長リビングアニオンが定量的に塩素原子でキャップできることを明らかにした.次に,導入された炭素–ハロゲン結合が遷移金属触媒によるリビングラジカル重合の開始点として利用可能なことに着目し,ルテニウム錯体を用いてラジカル重合への活性種の変換を行い,ブロック共重合体の合成を行った.また,アニオン重合で導入されたポリイソプレンの塩素末端をクリック反応可能なアジド基へさらに誘導することで,末端にアルキンをもつポリマーとのクリック反応によるブロック共重合体の合成も行った.とくに,ポリエチレングリコールとのカップリングにより,両親媒性ブロック共重合体も合成可能であることを明らかにした.